2015/11/11

裸足ラン

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シューズを履かないで走る裸足ランが一部のランナーに根強い人気で、裸足教とも言えるほど熱心だったりするのですが、裸足で100kmを走る記録会が行われたようです。

裸足ランでの100kmでは世界記録を更新したらしく、時間は8時間18分14秒。すごいですね。
ちなみにシューズを履いた場合の100kmの世界記録は砂田さんの持つ6時間13分33秒。

今回の裸足ランの映像の一部がYouTubeにて公開されていました。



この映像を見る限り、非常に腰が落ちた摺り足のフォームになっている方が多いですよね。
柔らかなトラックであっても、裸足だと着地衝撃や皮膚摩擦が大きくなり、それを軽減させるためにこのようなヒタヒタと走るフォームになってしまうようですが、衝撃が少ない分足には優しく、どれだけ長く走るかを競う競技であれば最適なフォームです。

しかし、一般的な陸上競技はいかに速く走るかを競うスピード競技。マラソンもタイムを争う競技です。
ある程度の速度に達した場合、着地の反発力や、足のバネを活かした腰高前傾フォームで、軽快に走らないとスピードは出せません。なので、裸足ランのような路面からの痛みを軽減させるために怖々走るようなフォームは全く適さないのですね。競歩のように走りを抑止する特殊なルールの場合は別ですが。

ただ、底が厚く足裏の動きを制限してしまうシューズばかりを履いていると、かかとからドスンと強く着地をしても足が痛くないため、着地衝撃の少ない走り方をマスターすることができず、膝やアキレス腱、足底などに故障を起こしてしまう確率が高くなります。
足を後ろに送ろうとする回転系の走り方もシューズはわかりづらく、1歩ごとにブレーキをかけてしまう走りにもなりやすいです。

そのため、走りに無駄がなく足に優しいフォームをマスターするためには、硬い路面を裸足で走り、どんな走り方がいいのかいろいろ試しながら覚える必要があります。

また、足裏はツボの宝庫のため、芝や砂浜の上、あるいは整備された公園内のコースや競技場のトラックなどを裸足で走り、ツボのマッサージ効果や爽快感を味わうのも有効な手段です。

このように裸足も効果的な部分がありますが、スポーツ競技としての走力アップのトレーニングを行うのなら、専用のランニングシューズを履いてトレーニングするべきだし、当然レースもシューズを履くべきだと思います。
大会で利用される公道は、利用者のみなさんが裸足で歩いたり走ったりすることを想定して使っていないため、ガラス片や鉄粉が落ちているし、吸い殻やペットの糞尿、痰や不衛生なゴミなども捨ててあります。仮に一般道を利用する人がすべて裸足で使っているのなら、こんなに汚すわけはないですよね。
大会の主催者も、裸足でも安心して走れるほど道路を管理することなどできないから、選手の安全を確保するために、規則として裸足を禁止している大会もあります。

裸足には長所と短所が、シューズにも長所と短所があり、用途や目的に応じて使い分けるべきで、一部の裸足ランナーのように、自分が裸足ランナーであることを自画自賛し、裸足の利点をかき集めて賛同し、何が何でも裸足、裸足、裸足サイコー、裸足バンザイとなり、布教活動にまでいそしむ姿を見ると、奇異に感じてしまいます。
Apple信者と呼ばれる方も、こういったタイプが多いですね。ボロ儲けのアメリカの一企業を応援して何の得があるのやら。

話は逸れましたが、裸足は裸足の良さがあり、安全を確保しつつ楽しく走るのであれば、それはそれですごくいいことだと思いますし、私もトラック内の芝の上を裸足でクールダウンしています。非常に気持ちいいです。
しかし、パフォーマンスを発揮してトレーニングやレースをするのなら、それに見合った専用の道具を使うべき。これは、野球ならグローブを、バイクならヘルメットやつなぎを、剣道なら胴着を、サッカーならスパイクを、自転車ならビンディングシューズを使っており、これらを使わなかったら安全性や競技力が損なわれ、スポーツの面白さが半減してしまいます。

ちなみに、裸足ランの元祖と言えばアベベ選手ですが、あの裸足ランはシューズがレース前に壊れてしまい、サイズが合わずに現地調達することができなかったため、仕方なく裸足で走ったのだそうです。(Wikipediaより)
裸足の部分が注目され話題となったため、その後のレースも裸足で出場したようですが、本来はシューズを履いていたはずなんですね。

裸足信者さんからすると、異論、反論があるかもしれませんが、着地の反発力を消し去り、腰が落ち体が起きあがってしまい、ピッチが細かく腕振りが弱くなる妙なフォームの裸足ランの動画を見る限り、持久力だけでなくスピードも重視するマラソンの場合での裸足ランはマイナス面を感じた方は多いのではないでしょうか。私もたまにマッサージ目的で裸足ランをしますが、頻繁に裸足で走るとこんなフォームになってしまうのかと驚いてしまいました。柔らかなトラックでこの状態なので、硬くて小石もあるアスファルトとなれば、更に大きな癖が出そうです。
もちろん、今回は裸足で100㎞なので特殊なフォームで挑んだとは思いますが、普段のトレーニングも裸足一途になってしまうと、フォームが大幅に崩れてしまう可能性が高そうです。

どんな目的であろうと、どんな方法であろうと人それぞれ自由だし、大会にしてもルール内であれば仮装をしても裸足で走っても自由でありますが、純粋なスポーツとしてランニングを楽しむのであれば、それに適した装備で走る方がいいし、裸足ランはシューズの短所を補うためという位置づけで、双方をうまく使い分けて楽しむべきだと思います。