2015/10/10

走り込みと調整

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今シーズンのレースが続々と開催され、自分が出走するレース日も迫り、トレーニング不足で慌てる頃だと思うのですが、頑張れてますでしょうか。
今頃慌ててガンガントレーニングをすると故障してしまい、トレーニングどころかレース出走も危ぶまれるので、走り込み期や調整期こそ、冷静で計画的なトレーニングメニューが必要になってきます。
私の少ない走歴から得られた、レース直前のトレーニングと調整方法を書いてみます。昨年はこの方法で自己ベストを更新でき、年齢別全日本ランキングのベスト50に何とか入れたので、多少は説得力があるかと思います。


・ポイント練習の強度を上げる

レース1週間前までは、しっかりポイント練習をしました。ペース走やインターバル走などのスピード系はできるだけ速く、ロング走のスタミナ系は頻度を多くしました。但しロング走はレースの10日前までには終えるようにしました。
30㎞を目標のレースペース(自己ベスト)よりも速く走ることを最終的な課題とし、昨年の9月末に参加した30㎞のレースでのタイムは2:03'44(4'07/km)で走れました。残暑が厳しい日でこのタイムだったので、かなり自信が付きました。当時のフルの自己ベストが2:55'02(4'09/km)だったので、トレーニングでの目標はギリギリクリア。
そして実際のレース結果では2:52'44(4'06/km)となり、この課題は効果的だったことを実感しています。


・ジョグを減らして休養を増やす

マラソンのトレーニングは、負荷の高いポイント練習と、ジョグ、補強、休養の4種があり、これをバランス良くローテーションすることが基本ですが、トレーニング強度を上げなければいけないこの時期は、ポイント練習の負荷が高くなる分、疲労や足の痛みを十分回復させる必要があるため、つなぎのジョグを減らして休養を増やしました。
休養は週に1日程度だったものを2~4日へ。月間走行距離は少なくなりますが、疲労がしっかり抜けるため、ポイント練習はおもいっきり頑張れました。
全体の量を増やすことよりも、強弱のメリハリを大きくするのですね。
例えば毎日10㎞を3日間計30km走るのであれば、1日目を20㎞ペース走、2日目を10㎞ペース走、3日目を休養とするとか、1日目を休養、2日目を30㎞走、3日目を休養とした方が、マラソン向きのトレーニングになるし、無理なく強度が上げられ、休養でポイント練習の準備や疲労の回復ができます。

2014年のレース1か月前のトレーニングメニューを公開してみます。青文字がポイント練習、赤文字がレース(タイムはグロス)。
カッコ内がターゲットペース、その後ろが走行距離、走行時間、平均ペース、平均心拍数。

10月1日 ジョグ 7.07km 41'56 5'56/km 105bpm
2日 ペース走(4'00/km) 10.02km 38'52 3'53/km 150bpm
3日 休養
4日 ペース走(4'00/km) 15.02km 1:00'48 4'03/km 147bpm
5日 レース(長良川クォーター)39'16 3'40/km 158bpm

6日 休養
7日 ペース走(4'00/km) 20.07km 1:21'42 4'04/km 148bpm
8日 休養
9日 休養
10日 ロング走(4'10/km) 30.02km 2:02'49 4'05/km 150bpm
11日 休養
12日 ジョグ 16.01km 1:29'37 5'36/km 118bpm

13日 休養
14日 ペース走(3'50/km) 10.02km 38'51 3'53/km 154bpm
、、、ジョグ 10.05km 56'20 5'36/km 121bpm
15日 ビルドアップ走(5'00/km→全力) 20.04km 1:33'05 4'39/km 129bpm
16日 ジョグ 6.04km 34'51 5'46/km
17日 ジョグ 15.03km 1:15'33 5'02/km
18日 刺激入れ 3.02km 11'41 3'52/km
19日 レース(菰野ハーフ)1:21'11 3'52/km 154bpm

20日 休養
21日 ペース走(4'00km) 20.36km 1:21'25 4'00/km 151bpm
22日 休養
23日 ロング走(4'15/km) 30.00km 2:10'37 4'21/km 141bpm
24日 休養
25日 休養
26日 ビルドアップ走(5'00/km→全力) 20.05km 1:26'12 4'18/km 140bpm

27日 休養
28日 ペース走 (4'00/km) 10.26km 41'15 4'01/km 147bpm
、、、ジョグ 5.06km 27'59 5'32/km 120bpm
29日 ジョグ 10.05km 50'37 5'02 128bpm
30日 ジョグ 12.18km 56'35 4'39/km 133bpm
31日 休養
11月1日 休養
2日 レース(あいの土山フル)2:55'36 4'08/km 149bpm

3日 ジョグ 15.11km 1:18'43 5'13/km 118bpm
4日 休養
5日 ジョグ 10.02km 50'09 5'00/km
6日 ジョグ 8.04km 46'57 5'50/km 110bpm
7日 休養
8日 刺激入れ(WS) 5.07km 23:01 4'32/km 139bpm
9日 レース(いびがわフル)2:52'48 4'03/km 154bpm

レース1週間前の最終調整段階は、ポイント練習を減らしてジョグを増やすようにし、休養はウォーキングをしたり交代浴やマッサージをしたりなど、回復を意識した行動を取りました。あまりトレーニング量を減らしてしまうと体重が増加してしまうので、強度を下げつつもしっかり動くようにするといいようです。


・炭水化物をしっかり摂って体重を絞る

一般的なダイエット法は、運動をしてエネルギーを消費することと、摂取側では、栄養が豊富なおかずではなく炭水化物を減らすのが基本ですが、ランナーの場合は炭水化物はタンパク質同様に重要な栄養素の一つで、これを減らしてしまっては十分なトレーニングができなくなります。特にロング走などのスタミナ系トレーニングは悪影響が大きいです。
そのため、食事量を維持しながら体重を絞らなければならず、そのためには、食事の割合を変更すると効果的です。
1日の食事を10とすると、朝3、昼3、夜4の割合だったものを、朝4、昼4、夜2の割合に変えます。量の調整のメインとなる食材は炭水化物であるご飯。朝と昼の食事量を増やすのは、どか食いすると胃が大きくなるので、間食で補うといいようです。

食べたものが消化吸収される時間を考えると、食材によって細かな差はあるものの、消化に2~3時間、吸収に7~9時間ほどかかるそうです。消化吸収に約10時間かかるとすると、単純に考えれば、朝7時に食べた食事は17時頃に、昼12時に食べたものは22時頃にエネルギーとして利用できるわけですね。

私は夜19~20時頃にランニングをしているのですが、そのためのエネルギーや回復のための栄養を考えると、朝飯や昼飯は消化吸収のタイミング的にも非常に重要で、晩飯はさほど重要でもなくなり、睡眠時の消化や吸収の負担を思うと、晩飯は少量の軽食の方が好都合となります。
そのため私は、晩飯はご飯はなしに。トレーニング直後は豆乳か牛乳を飲んで空腹を和らげ、晩飯は大盛りのサラダとおかずだけにしています。この野菜のおかげで便秘も皆無。
現在その調整中で、1週間程度で体重が1.5kg、体脂肪率が1.6%減り、内臓脂肪が減ったのか、お腹周りがスッキリしました。あと1kgほど絞る予定。

但し、レース直前は別で、晩飯にご飯をたくさん食べるようにしました。
消化吸収の時間差を考えると、レースの場合は午前中に競技が行われるため、前日の晩飯が重要になってくるわけですね。そしてレース当日の朝食は、カーボとか言ってお餅などの炭水化物を無理に摂ったところで意味はなく、朝に食べたものは走りながら胃腸で消化をしなければならなくなり、小腸で吸収されエネルギーとして使えるのは、自宅に帰って片付け物をして入浴している頃になってしまいます。
レース当日の食事に関しては昨年失敗しており、胃に大きな負担を感じました。
レース当日の朝食は、血糖値を上げて空腹感を癒やす程度の軽食と、走行中に失われる水分や塩分などの対策としてスポーツドリンクを飲んでおけばいいような気がします。今年はこの方法を実践する予定。

もちろん人間の身体は機械ではなく、体質や体調によって数値通りの働きはしませんが、一般的にオススメされている方法論が、案外矛盾だらけの場合もあるので、本当に効果があるのかどうかを、レース本番前に自分で試してみることが大切ですね。


・補強を行う

私のように故障しやすいランナーは、補強が特に重要。
ランナーに起こりやすいシンスプリントや腸脛靭帯炎、足底腱膜炎などの症状は、筋力不足やストレッチ不足で、筋肉以外の一点に集中して負荷がかかってしまうのが原因で、事前に鍛えておかないといけません。補強はサブ的なメニューに捉えがちで、ランニングのついでに補強みたいな意識を持ちやすいのですが、走って痛めるのだから、走る前に補強で鍛えておかなければ意味が無いわけで、ランニングよりも補強を優先すべきなんですね。

足底腱膜炎は、NHKのためしてガッテンで放送されていました。生まれた頃はアキレス腱が足底側の腱とつながっており、10歳頃になると、かかとの外側を通っていた腱が、かかとの骨と一体化し、アキレス腱と足底腱に分割されてしまうというのは知りませんでした。

足裏チェック!疲れと痛みの真犯人はカカトだ : ためしてガッテン - NHK



ためしてガッテンは高齢の方や、運動不足の方が対象になっている特集が多いものの、足底腱膜炎の解説と予防はランナーにとっても非常に重要。要は、ふくらはぎのストレッチを行って柔軟性を高める必要があるというのが予防方法で、そのストレッチ方法を番組内で紹介していたのですが、タオルギャザーはひざを伸ばして行うなど、参考になった部分もありました。

シンスプリントに関してはこちらのページが参考になりました。

なかなか治らないシンスプリントを完治させるための治療と6ステップ




トレーニング時に勘違いしやすいこととして、トレーニングでもレースでも、ライバルは過去の自分であって、他人ではないのですね。
他の人がインターバル走で速く走ったから、それに負けじと速く走ってみたり、月間走行距離を人より何十キロも何百キロも多く伸ばしたりしても、一時的でささやかな自己満足が得られるだけで、これといって価値がなければ、認められることでも、誇れることでもないし、トレーニングで勝った負けたで一喜一憂していたところで、肝心のレースがイマイチなタイムで終わってしまったのであれば、些細な自己満足で浮かれていた自分が情けなくなることかと思います。
部活の場合、仲間同士で競い合って切磋琢磨することは大切ですが、指導者の元でトレーニングをしているため、トレーニングのメニュー内容やバランスを変えるようなことはしません。これが一人で行うと好き勝手に変更できるので、得意なスピード練習ばかりして、ロング系のペース走が行えず、レースでは30㎞地点で足が止まってしまい、ペースがガタ落ちの失敗レースをしてしまったり、月間走行距離を無駄に追い求め、慢性的な疲労を抱えてしまい、故障まで誘発してしまったりなど、いったい何のための練習なのか、わけがわからなくなってしまいます。

ここ最近、ハイレベルなランナーさんのトレーニング内容をチェックしているのですが、トレーニングメニューは強・弱・休のローテーションで、基本に忠実。全然ブレない。人は人、私は私、みたいな感じ。そして、ポイント練習の強度がものすごく高い。当然レースでも好タイム(ハーフで1時間14分)を叩きだしています。もう一人のランナーさんはフルで2時間31分台。海外のレースでは3位をゲットされていました。
結果が優秀なランナーさんのトレーニングを見れば、その理由がハッキリ出ていますね。

Twitterのフォロワーさんで、サブスリーを目指して頑張っているランナーさんが見えるのですが、残念な結果に終わってしまった昨年のリベンジをするため頑張っています。このランナーさんの今年のトレーニング内容がバランスも強度も抜群で、今シーズンは間違いなくサブスリーが達成できるレベルまで走力が上がったようです。
このランナーさんも基本に忠実。スピードトレーニング、スタミナトレーニング、ジョグ、休養のバランスが良く、強度にメリハリがあり、ポイント練習の負荷が高い。そして故障もほとんどしない。

一時的な満足感しか得られないようなトレーニングなどせず、自分を客観的に見つめながら、計画性がありつつも、クールでアグレッシブなトレーニングをすることが上達の鍵なんだなと、他のランナーさんをチェックすることで実感しています。


現時点での私のトレーニング状態だと、PB更新どころかサブスリーすら厳しいんじゃね?みたいなレベルなんですが、11月が本命レースの私の場合、今さら慌てて頑張ったところでもう遅く、体重を絞ることくらいしか効果的な方法は残されていないのですが、今の実力をすべて発揮してゴールできれば十分満足できそうなので、優秀なランナーさんのトレーニング方法を参考にしつつ、無理せず無駄のないメニューを消化して行こうと思っています。