2015/03/13

ランニングシューズの選び方とメンテナンス

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・シューズ選び

各メーカーから多くのランニングシューズが発売されており、どれを買おうか迷うのですが、デザインや値引き率、ブランドイメージなどで選ぶと後悔することが多いです。ネットショップは安いので、セール時に衝動的に注文してしまうのですが、これが結構後悔するのですよね。Amazonのように、返品可能なショップの場合は安心ですが、そうでない場合は、事前に最寄りのショップで試履をしておいたほうがいいです。
私はスポーツショップへ行ったときは、気になるシューズをすべて試着しておき、次に買う候補を定めておくようにしています。

試着時に一番重要視しているのはかかとの部分。靴紐を締めているのにも関わらず、かかとが上下に遊ぶタイプはダメ。ハーフサイズ小さめを履いて確認をし、それでもダメならその製品は諦めています。ヒールカップの作りがいいシューズは、靴紐をゆるめて歩いても、かかとがパコパコと浮く感じがしません。
かかとがルーズなシューズは、足先が屈曲したときに、足の甲だけにテンションがかかってしまうので、レースの下にあるベロの部分の作りがしっかりしていないと、甲を痛めやすいのと、かかとが遊ぶようでは、ソールがしなったときの復元力が逃げてしまいます。
左がヒールカップがしっかりしたターサージール、右がアディゼロのMANA7で、ヒールの硬い部分まで指で押してみたのですが、



ヒールカップの大きさが全然違います。シューズのサイズは共に26cm。緑のジールの方は高さも十分あるため、かかとを包み込むようにホールドしてくれます。MANA7は浅いため、ツッカケを履いているかの印象です。

また、ソールのしなりが柔らかいシューズは、ヒールカップの作りが悪くても、かかとのフィット感が良く感じてしまいますが、ソールの柔らかいシューズは、キックの時に足先がしなったあとの復元力が弱いので、足が疲れやすいです。
足の付根やひざの関節を動かす場合、100回でも200回でも屈曲することができますが、足の指先や足首を何度も屈曲させるとすぐに疲れてしまいます。大きな筋肉は長時間動かし続けてもなかなか疲れませんが、小さな筋肉はすぐに疲れてしまうので、なるべく使わない方がいいのですよね。シューズのソールがやわらかすぎて簡単にしなるよりも、必要最低限のしなりで抑えてくれるタイプのほうが、足指に無駄な動きや力が入りにくいので楽だと思います。

ソールに適度なしなりと復元力があり、ヒールのフィット感が良く、走行時の足の甲の締め付けが少なく、小指と親指のアッパーへのあたりが適度で、拇指球周りがしっかりホールドできる容積サイズというのが、私のベストシューズになります。
この基準にすると、大半のシューズが候補から外れます。アシックスやミズノは候補に残りやすいのですが、ナイキやアディゼロ(Takumiを除く)はほとんど落第するかと思います。海外メーカーはセールでの値引率が高いため、思わず衝動買いをしてしまうのですが、フィット感の悪さのおかげで、買ったことを後悔する場合がほとんどです。

また、初級者向けや上級者向け、キロ6分用とキロ4分以内など、走力やペースによってシューズが分類されていたりしますが、初心者であっても上級者であっても、保護力のあるジョグ用と、軽量で薄底のレーシング用の2足を買い、トレーニング内容によって使い分けるほうがいいと思います。保護力の高いシューズのみでトレーニングをすると、着地衝撃が優しく、スピードに乗りやすい走法がわからなくなるため、ドタドタとした(ランスマの亮さんのような)走法から抜け出せなくなるし、逆にレーシングモデルばかりでトレーニングをすると、足休め目的のジョグでは負担がかかりやすいです。草地や学校のグラウンドのような地面での走行ではなく、舗装路が主体となるのであれば、保護力の高いシューズも、トレーニング目的によっては必要になってきます。

アスファルトという不自然な路面を走るというのは、足に大変ストレスがかかりやすく、故障につながりやすいため、アフリカ出身のエリートランナーは、アスファルトの上でトレーニングを非常に嫌うそうです。(下記の本参照)



シューズ選びに関しては、下記の本も参考になりました。大半の方は、履いているシューズが大きいのだそうです。





・シューズの洗濯と保管

走行直後のシューズの内部は、乾燥している冷たい冬であっても非常に蒸れているので、走ったあとはインソールを外して陰干ししています。
私はシューズは下駄箱に入れず、本棚にタオルを引いてシューズを置き、自室に保管しています。自室に保管することで、飾りになったり、モチベーションアップに繋がったりします。ランスマでも、スタジオのセット内にシューズを飾っていますが、あんな感じで並べておくと、飾りになるし愛着もわきます。
そして自室に置くとなれば、履いた後の土汚れを叩いたりブラシで落としたりして綺麗に保管するようになるし、臭わないように定期的に洗うようになるし、ソールの減りをチェックして補修もしやすくなります。

レースでたまに見かけるのは、まったく洗ったことがないかのような、薄茶色に汚れたシューズを平気で履いている方や、まっすぐ立てないほどにソールが激しく片減りしているシューズを履いている方がいます。あれはダメかと。
汚れているシューズを履くというのは、洗濯したことがない下着や服を身につけているようなもの。不衛生だけでなく、細かな土汚れが動きとともに紙やすりのように摩擦し合うため、アッパーやソール、接着部分の劣化が進むことかと思います。
そして、片減りしているシューズは、自分の走法の歪みや癖が、シューズの摩耗による傾きでさらに助長されてしまうので、故障につながるかと思います。

劣化や摩耗したシューズの影響に関しては、コーチング・クリニックという雑誌の無料のサンプル版の78ページに、論文を基にした「ランニングシューズの相違や劣化が及ぼす影響」と題した解説が書かれているので、参照してみてください。下記リンク先ページの左側にサンプル雑誌があります。

コーチングクリニック |【Fujisan.co.jp】の雑誌・定期購読

シューズの洗濯は、風呂場でシャワーとブラシを使って洗っています。水よりもお湯の方が皮脂汚れが落ちやすいし、シャワーの水流を使って洗い流せば、細かな部分も綺麗になります。洗剤はシャンプーを使い、リンスで仕上げています(^_^;)
液体なので洗いやすいし、泡立ちも抜群。洗ったあとの香りもいいし、リンスのおかげで乾燥してもカピカピにならずアッパーの柔軟性が保てます。もちろん、シューズ用や衣類用の洗剤を使った方がいいとは思いますが。
洗ったあとは洗濯機で脱水だけ行い、形を整え自室で陰干ししています。
私の場合、レース後の入浴の時は、シューズの洗濯が儀式化しており、自分のカラダとシューズに「よく頑張った」と褒め称えながら、疲れと汚れを洗い流しています。


・シューズの補修

シューズをまったく補修をせずに使うと、ジョグ用で500km、レース用だと300kmくらいでアウトソールが減ってしまいます。
フラットな着地で全体が一様に減る方はいいのですが、外側やかかと側など、偏摩耗が激しいランナーさんは、速攻でアウトソールが減りミッドソールが見え始めてしまいます。ミッドソールはスポンジのような素材なので一気に減り、クッション性が損なわれます。ソールの一部分が減っただけで、5000~10000円以上するランニングシューズを買い換えていてはもったいないですよね。

そんな時はシューグー。お値段は1000円ちょっと。これ1本あれば、寿命が500kmのシューズを1000kmに伸ばせます。補修時に使う量はわずかなので、1本で多くのシューズを何度も補修することができます。

これは、私がジョグやロング走で多用しているシューズで、



川内選手も愛用しているアシックスのGT-2000。やや重いものの保護力が高く癖のないオススメのシューズなんですが、このシューズの走行距離はすでに1000kmオーバー。
ほとんど減っていませんよね。シューグーで補修をこまめに行えば、1000kmを超えてもまだまだ使えます。



シューグーは歯磨き粉のような柔らかさのボンドですが、これが乾燥すると硬化せずゴム状に固まるため、ランニングシューズのアウトソールに使っても、グリップやクッション性を損なうことがありません。速乾性のため数時間で固まりますが、最低でも一晩は乾燥させたほうが強度は高まるかと思います。
使っている他のシューズもこのような状態に。左が700km走行のアシックスターサージール、右が300km走行のターサージャパンv-A。



左がアディゼロのTakumiRen、右がターサージールTS。共に750kmほど走行していますが、今も現役です。



シューグーにはアイスキャンディーの棒のようなヘラが付いており、これで塗った部分を平坦にできるのですが、私はソールに直接シューグーのチューブを付けてペトペトと塗っています。多少ガタガタになっても走ればすぐに滑らかになるし、普段は見えない靴裏なので、綺麗に仕上げるまでもありません。
それよりも、早めに補修することがポイントで、私は100kmほど走行して、アウトソールがわずかに減り始めた時点で塗り始めています。まだアウトソールが十分ある上から塗れば片減り対策になるし、減りきってしまって柔らかなミッドソールへ塗るよりも、硬いゴムのアウトソールに塗る方が接着力は高いように感じます。

シューグーには、黒と白とクリーム色、そしてクリアがあるのですが、黒がもっとも硬いため、減りの激しいランニングシューズには最適で、クリアは乾燥してもかなり柔らかいため、アッパーやインソールの補修に最適です。
これは、TakumiRenのアッパーの小指部分を補修、補強したもの。内側の生地がすり減ってきたので直したのですが、見た目ほとんどわかりませんよね。



こちらは、インソールの裏側に塗ることで、インソールとミッドソールのヘタりによる沈み込みに対策を講じたもの。私は拇指球の外側から着地するため、ここが最もヘタってしまいます。



また、インソールは拇指球あたりのつぶれが早いため、こんな感じで塗っておくといいです。



アウトソールの補修を繰り返していても、ミッドソールはどんどんヘタってしまうため、衝撃吸収力が弱ったり、厚みが落ち込んでしまったりすれば処分となるのですが、私の場合はフォアフットやミッドフットで着地しており、かかとが全然減らないため、ランニング用のあとはウォーキング用として活躍させることができます。そのため、1足が使える期間は長期に渡っており、アッパーがヨレヨレになったり、退色したりした時にようやく処分となっています。



マラソンブームは続き、ランニングシューズの売れ行きも好調で、各社からあらゆるタイプのシューズが続々と売り出されていますが、私が今まで使ってきたシューズでは、アシックスのターサージールと、ミズノのNEXUS7が現時点でのベストとなっています。

ターサージールやNEXUS、あるいはアシックスのターサージャパンやライトレーサーのように、定期的にモデルチェンジを繰り返しているにも関わらず、ほとんど変更点がないというシューズは、完成度が高く、人気も高く、売れ行きが順調の表れ。どれにしようか迷っている方は、こういったシューズを選択肢の一つに入れておくといいかと思います。

他の趣味でもそうですが、道具に愛着が持てるようになると楽しいですよね。ランニングの場合は、最低限必要な道具はシューズのみとなるだけに、しっかり手入れをしながら大切に扱い、トレーニングやレースで大活躍させれば、マラソンの趣味がさらに楽しめるかと思います。