2014/12/03

マラソン時の補給食

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マラソン大会で、エイドに用意されたいろんな食べ物を、おいしく食べながら走るシーンが映し出されるTV番組のランスマ。
マラソン中の補給食は、カットされたバナナやオレンジといった一般的なものだけでなく、その地方の名物だったり、個性的なものだったり、マラソン大会の名前自体が名産品だったりするものもあり、走りながら食べることが当たり前かのようなイメージすらあります。
長時間、長い距離を走るには、多くのエネルギーが消費されるため、途中でエネルギーが枯渇し、ハンガーノックでリタイヤするといけないので補給食を食べるわけですが、本当に効果があるのでしょうか。ないですよね。

食べ物は、口→食道→胃→十二指腸→小腸→大腸、と順に通り、口から十二指腸までが消化をする役目、小腸と大腸が栄養を吸収する役目となっているのですが、食材によってバラつきはあるものの、消化、吸収のためにはかなり長い時間がかかります。
おおよその通過時間は、
食道は、個体が1分、液体が5秒、
胃は、個体4時間、液体5分。

吸収通過時間は、
小腸が8時間前後。腸の長さは約6~7m。
大腸が10時間前後。腸の長さは約2m。
とのこと。

マラソン時にエイドで食べた食べ物は、完走のためには役に立たず、ゴールして着替えて帰宅して入浴をし、洗濯や片付け物をした頃に、ようやく栄養として吸収されるわけですね。
レース時に食べたものは、レース中にはほとんど吸収されず、レース後の身体の回復に役に立つだけのものなので、それなら、何も走っている時に慌てて食べる必要はなく、ゴールしてから栄養価の高いおいしい食事を、ゆっくり噛んで食べた方がいいということになります。
それに、胃の中の食べ物の滞在時間は4時間ほどもあるため、レース時に給食したものは栄養素を吸収することなく、胃の中に入れてゴールまで運ぶことになります。胃は消化のために強い酸が使われますが、食道へ逆流しないよう噴門で止めていても、走る衝撃で何度も激しく胃がゆすられたら、噴門の括約筋が耐え切れずに逆流してしまい、胸焼けを起こしてしまいます。
逆流により胃酸で痛めた食道は、すぐには治らないため、その後の食事でも不快感が続き、レースでの疲労回復のための食事がつらくなってしまいます。

結局、4時間程度で走り終えるレース時の給食は、身体にとっては百害あって一理なしなんですね。ただ、マラニック(マラソンとピクニックを掛けあわせた造語)のような、軽い運動をしながら景色や食べ物を楽しむことが目的なら、それはそれで楽しいかもしれません。ただ、走りながらの食事は内蔵に負担がかかるため、給食は味見をする程度の量にした方がいいかと思います。


レースで枯渇したエネルギーを補給するのに理にかなっているのは、消化吸収が速い、水、スポーツドリンク、ジェルやゼリーなどで、これならゴールまでに吸収が間に合います。しかし、それでもある程度の時間がかかるため、補給するタイミングが重要になるとのこと。
こちらのページで、わかりやすく解説されていました。

【フルマラソン対策編】35㌔の壁を乗り越えるために!④|走るなら食べよう!~体は必ず変わります~|JogNote連載・走る人の為の健康食事コラム


走行時のスポドリやジェルは、栄養補給というよりも、血糖値を上げることが目的なんですね。普段の食事で得られたパワーの源であるグリコーゲンが枯渇すると、低血糖の状態になって身体の力も脳の思考力も衰えるので、その状態を一時的に回復するために、スポドリやジェルなどを消化吸収の速いものを補給し、血糖値を適度に上げて回復を促すわけですね。

私の場合は、レース前日の晩飯と、レース当日の朝飯が重要と思っており、晩飯はレバーの焼き鳥やイワシの丸干し、鶏鍋など、栄養価の高いものを、そして朝は納豆と、完全栄養食品である卵は必ず摂るようにしています。
会場に着いてスタートまで待つ時間に、自家製のスポドリ(粉末のスポドリをかなり薄めに作り、ポッカレモンと塩、ハチミツを混ぜたもの)を500mlほど飲みます。気温が高い日は塩を多めにしています。
スタート時間が遅い大会は、空腹感の対策に、バナナやゼリーを食べます。
レース時は、ハーフは持参しませんが、フルはジェルを2個持参。ショートタイツのポケットか、小さなウエストポーチに入れ、15~20kmと25~30kmあたりで飲みます。ゼリーはカロリーが高くコンパクトなサイズのこれを飲んでいます。


かなり濃厚なので、これを飲んだあとはエイドで水を飲んでいます。寒い真冬は手がかじかんで指先に力が入らない時があるので、事前にキャップをゆるめています。
補給はこれだけで十分。エイドでのスポドリが充実しているのであれば、ジェルは1個で十分くらいです。ハンガーノックになったことはありません。もしなったのなら、走行時の補給よりも、事前の食事に問題があると思います。
また、ハンガーノックを恐れて、非常に多くのタブレットやゼリーを持参するランナーさんも見えますが、食べることよりも、体内にある養分をエネルギーに変えるトレーニングをしっかりすることが先決。その能力が劣っていては、いくら栄養を補給しても無駄ですよね。

また、エイドで給水する場合、ペースを落とさず走りながら飲むのは結構難しく、少量しか飲めなかったり、むせてしまったり、飲むのに息苦しくなった分、その後の走りが一時的に苦しくなってしまうのですが、それは、エリートランナーを真似て、走りながら慌てて飲むのが原因であって、給水時は無理に走らず早歩きをすればいいと思います。飲む間に歩いてタイムが落ちた分は、あとからいくらでも挽回できるし、歩いた方がむせたりせずしっかり飲め、息も整えられるので、飲んだ直後に苦しくなったりもしません。
ただ、エイド前でいきなり速度を落とすと、後続のランナーに迷惑になるので、コップを取り去るまではそのままのペースで走り、少し走ったあとに減速して飲むとスムーズです。

私は走行中に、エイドで食べ物を食べたことが一度もないのですが、あの盛りだくさんの食事はエイドで用意せずに、ゴール後に1人分ずつ袋に小分けして完走証と共に配るか、ゴール近くに設営したテント内で食べられるようにしていただきたいと思うのは、私だけではないかと。